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PBP2023レポート⑧ : 凡脚週末ローディの戯言 (livedoor.blog)
【ゴール後】
ゴールゲートを潜り感傷に浸…っている間もなく、即座に完走者用の駐輪場に追いやられる。…まぁ、いつまでもボーっとされてても邪魔だし危ないだろうし仕方ないね。ということで自転車を停め最後の押印の儀式を執り行う。場所は物販コーナーのテントの中である。スタンプを押してもらい完走メダルとミールチケットと共に、その場でブルベカードも返却される。…え?良いの?これオペレーションミスってない?と心配になるも、周りの人たちもやはりその場でブルベカードが返却されていたので、そういう運用らしいと納得する。ICタグで管理されているから、それで良いということなのだろう。
とりあえずテントから出て知り合いがいないかと思いボーっとしていたが、さすがコミュ障ぼっち系サイクリストのワイ、そんな都合よく顔見知りなんて現れないぜ!勿論ジャージ交換なんて求められることもないぜ!…ということで近くにいた優しそうなお姉さんに普段はやらないゴール完走報告用の自撮り写真の撮影をお願いし、昼食を食べるために行列に並ぶ。うーん、長い。空模様を見るとだいぶどんよりしており、いつ一雨きてもおかしくなさそうである。そうしていると同じくゴールしていた15さんとはまいぬさんがやってきてしばし談笑しつつ、ドロップバッグ回収ならびに洗濯峠についてのスケジュールを打合せする(ゲンナリ)。いったん彼らとはここで別れ、しばし待っているうちにテントの中に入れたので昼食と相成った。最後に食べたPC飯もそうだったがやはり美味しくいただくことができた。五臓六腑に染みるぜ…。おまけにデザートがパリブレストという粋な計らいもあり、『フランスでパリブレストを食べる』という実績を最後の最後に解除できたのは素直に嬉しいところである。
満腹になったところで一息ついていると、いつの間にか激しい雨音が。うーん、これは流石にお外には出れませんね…。というか、あと数時間ゴールが遅れていたらこの雨の中走る羽目になっていたのか。幸い、テントの中は特に混んでいるというわけではなく、雨雲レーダーを確認してもすぐに止みそうな予報であったため雨宿りがてらTwitterを巡回する。DNF・完走報告が入り乱れる悲喜こもごもなTLを眺めているうちに雨も止んだため、トイレだけ済ませてホテルに戻る。駐輪場から自転車を出す時は盗難対策なのであろうか、リストバンドをしっかりチェックされるという中々のセキュリティの高さであった。
ランブイエ駅まで戻るとPBP参加者達でごった返しており、切符を買うのにも一苦労しそうな様相である。ここでもまたばるさんとさめはるさん夫婦に出会ったので話を聞くとマジでよく会うな()、どうやらまたホワイトハウスでハンバーガーを食べていたらしいwまぁ、でもあそこ美味しいからね、仕方ないね。思えば、自分がしっかり完走できたのは彼の情報や助言によるところが非常に大きい。本当にお世話になりっぱなしで頭が上がらないものである。
とりあえず切符販売機まで来たので買おうとしたが、極限まで低下したIQも相まって買い方がよくわからない…。あーでもないこーでもないとまごついていると、日本からの参加者でこれまた同じくラレー乗りの方に助けていただけた。感謝を述べつつ何でもこれまた同じく下車駅もヴェリエールということで、雑談しながら一緒に電車に乗って帰ることに。…車内で爆睡してしまい、この方がいなかったら確実にモンパルナスまで乗り過ごす羽目になっていたことを、ここで懺悔いたします。
ヴェリエールに到着したので先ほどの方とはここで別れ、スーパーで買い物を済ませて宿に戻る。オーナーに「レースお疲れ!何着だったの?」と聞かれたので「レースじゃないけど、何とか時間内にゴールできたよ」とゴミみたいな英語力で答えておく。Tessyさん含め、まだ誰も戻ってきていないようだが、状況を聞くと「時間ギリギリでゴールしたので、宿には戻らずそのままドロップバッグの回収に向かう」とのこと。無事に認定完走できていたようで本当に良かった。
さて、ドロップバッグの回収時間は17:00~18:00のわずか一時間。とりあえずシャワーを浴びてある程度の人権を回復させたらちょうどいい時間になったため、バッグの回収に向かう。お尻が完全に崩壊していたのでダンシングのみで回収場所に向かい、15さんとはまいぬさんと合流してそのままコインランドリーまで向かう。気分的には洗濯はもう帰国後に回したいところだったが、かいた汗の量を考えると流石にそれはマズかろう…という苦渋の決断であった。洗濯機を回しながら近場のガソリンスタンドでジュースやお菓子を買い込み(私は1ℓのOASISを購入した。一瞬で飲み切った)、近くのベンチで座りながら今年のPBPはどうだったこうだったと話に華を咲かせる。「今年のPBPは気温やBRESTからの復路、シークレットPCの配置等で例年とは傾向が違っていた」という会話などはまさに、センター試験共通テスト直後の受験生そのものだな…と考えると少しおかしかった。中~高生くらいの男子がおそらくフランス語で「そのジュースちょうだいよ」みたいなことを言ってきたので無視していたら、最終的に威嚇されてどっか行っちゃった。
洗濯も終わったのでまた例のインド屋に向かうと、先客にクロさんが。折角なのでご一緒にチーズナンセットとビリヤニをキメ会いたかったよチーズナン、フランスでの最後の晩餐と洒落込む。一通り食べ終わり名残惜しいが宿に戻る事とする。そう、今日のタスクはまだまだ残っているのだ…。
クロさん・15さん・はまいぬさんと別れを告げ宿に戻る。あれ?もう結構良い時間なのに私以外まだ誰も帰ってきてないな?と思いきや他の方々もそれぞれの友人たちと祝勝会をしているとのこと。私と同室の方からは「今日はもう戻らないのでお部屋は占有して好きに使っちゃってくださいw」と連絡が。折角なのでお言葉に甘えて遠慮なく広々と使わせてもらおう…。さて、1200km以上も走ってきた上に連日寝不足である。時刻は20:00。いい加減オフトゥンにダイブしたいがそうは問屋が卸さない。そう、私の帰国のフライトは明日8/25のPM12:00発の便である。CDGまでAM9:30までには到着していたい…ということでタクシー(Uber)の予約時間はAM8:00。これが何を意味するかと言うと今すぐ自転車も含めて帰宅の準備を完了させなければならないということである。つらい。非常につらいが仕方がない。過去の自分を呪いつつアマプラで出国前にDLしてきた映画を流しつつ作業を進めることにする。1時間くらいかけて何とか日没までにパッキングを完了させ(陽が落ちるのが遅くて助かった)、ようやく寝ることができる…。余裕があるなら帰国は最低でも翌日の夕方以降の便を抑えることを強く推奨しておく。
【帰国】
AM6:20…祭りも終わり、今日はいよいよ帰国である。シャワーを浴びて朝ごはんにアルファ米のわかめご飯を食べ(せっかくだから昨日寄ったスーパーで総菜パン買えばよかった…)、出立の準備を済ませる。さて、往路と同様にCDG→SIN→KIXの長丁場のフライトとなる。忘れ物が無い事も確認し、ちょうど予約していたUberがくる時刻となったため、宿を後にする。…長い間!!!くそお世話になりました!!!
こない。
おいおい一体どうなってんだ道でも混んでるのかアッハッハ!んもぅフランス人ったら時間にルーズなんだから…とりあえずドライバーは今どこにいるのかな?と思いUberアプリを開いて確認したところ、「この予約はキャンセルされました」との文言が。これは一体どういうことだと思い調べてみると、どうやら行きの配車で支払いに使おうとしたクレジットカード(私が滞在中に使用していたものとはまた別のカード)が不正利用を疑われてロックされてしまっていたことでその分の支払いができていない状態であった。じゃあ私が持ってきていたカードを使って再度配車しなおすべ…と処理を進めても、Uber側からも悪質なアカウントだと判定されてしまっており、予約を受け付けない状態であった。
マズいな…今から鉄道使って移動しても間に合うか?…いや、調べたところ厳しいな。これはいよいよ万事休すか?と途方に暮れていたところ、同じ宿に泊まっていたTessyさんのご友人がたまたま通りがかり、事情を説明すると「じゃあ私が配車しますよ。お金はまた後で銀行口座に振り込んでおいてください」とありがたいお申し出が。時刻はAM9:00でさすがにもう余裕が無いためお言葉に甘え呼んでいただくことに。幸いすぐにドライバーとのマッチングに成功し、すぐに来るということで慌てて乗車した。この騒動で起こしてしまったTessyさんにも最後の挨拶とお見送りをしていただき、慌ただしくCDGに向かった。その節は本当にありがとうございました。
CDGにAM10:00到着。道も混んでおらず1時間で済んだのは本当に助かった。ここまで運んでくれたドライバーにお礼を言いつつ(これがフランス滞在中最後のメルシーだ)、道中の車内でオンラインチェックインを済ませていたためそのままシンガポール航空の受付へ行き自転車を預ける。そのまま慌ただしく手荷物検査や出国審査を終え(KIXより遥かに厳格だった。SPDシューズのクリートもバッチリ金属探知に引っ掛かってしまったし、手荷物の中身もチェックされた。ライトやモバブ類の容量確認やオイルのSDSは相変わらず求められなかったが…)、お土産も購入し綺麗に€も使い切り、本当のギリギリになんとか飛行機に乗り込むことができた。ありがとうなフランス。楽しかったよ。次来るときはゆっくり落ち着いてパリやモンサンミッシェルでも観光するよ。PBPの私設エイドなんかも楽しそうではある。
ラッキーなことに、CDG→SINの13時間のフライトでは隣りが空席の通路側を確保することができた。やはりエコノミークラスと言えども、もうこれだけで快適度は雲泥の差。気温は何故か終始寒かったが、個人的には耐えられないというほどではない。むしろ肌寒いくらいの方が汗もかかずに快適なまである。PBP出走直後ということでお尻へのダメージも心配だったが、むしろ逆に幸せの閾値が極限まで低下している状態のため往路と違い「わぁ、ただ座ってるだけで目的地に着くなんて、なんて素晴らしい文明の利器なんだ!」と一切のストレスを感じなかったこと奴隷輸送船とか言ってごめんなさい、何より疲れ果てていたため4時間くらいしか覚醒していなかったため、全くストレスは感じなかった。
そうしていつの間にかチャンギ空港に到着。まだまだ日本までは耐機時間の7時間も含めてまだ遠いが、アジアということでもう気持ちとしてはだいぶ帰ってきてしまった感が強い。ひとまず朝食として2000円以上する一風堂のラーメンを食べ(マジで高いなと思ったが、それ以上にこの時の私は「ジャパニーズヌードルのためなら殺人すら厭わない」という心境であった)、あいにく外はこれまた雨であったため、空港の中を観光して時間を潰すことにした。さすがアジア最大のハブ空港、ただ見て回るだけで余裕で時間が潰せるぜ。しかし、知ってはいたが物価の高さ半端無いな。セブンイレブンでペットボトルのコーヒーが300円くらいするんですけど…。
さて、見るものも無くなり他の人のPBP珍道中を拝見していたら、いよいよKIXまでの便の搭乗手続きが開始となる。チャンギ空港の場合、各ゲート毎に手荷物検査+出国審査があるので少し面倒である。どうでも良いが、出国審査の際にパスポート写真と私の顔写真を照会するゲートがあるのだが、精度が低いのか私含めてそこで3~4回やり直す羽目になった人が何人もいた。国際線に乗る時はやはり時間に余裕を持って行動した方が良さそうだ。
ゲート先でトイレも済ませ(まさかのウォッシュレット完備であった)、今回の旅の最後のフライトとなる。機内は寒すぎず暑すぎずな環境で特筆することもなく6時間後に関西空港へ到着。ロストバゲージも無く何とか無事に旅を終えることができた。くぅ~疲れましたw
【その後】
体調の方はというと、実は左手の指先の痺れがかなり強く残っており、この記事を執筆している1ヶ月以上経過した今でも容態としては改善されておらず、自転車にも全く乗れていない日々が続いている。整形外科に通院し投薬治療中ではあるが、このまま一向に改善されない状態が続くと手術の可能性を示唆されている。利き手ではないため幸いにもギリギリ日常生活に支障はきたしていないが…何か対策はあるのだろうか?痺れが出ている箇所から判断するに、掌の尺骨神経ではなく首筋に通っている神経への圧迫の可能性が高いとのことなのだが…。これもうリカンベントデビューしか無くない?
それも踏まえた上での総論としては、本当に参加して良かった。この一言に尽きる。金銭面でもスケジュール面でも参加するハードルは非常に高いが、それでもなお全てのサイクリストに是非とも参加してもらいたい。心の底からそう思えるイベントであった。
同じ最高峰でもツール・ドフランスに参加できるのはごく一握りの選ばれた人間だけだが、パリ・ブレスト・パリであればほぼ全てのサイクリストに門戸が開かれている。そこにいる人間全てが主人公。人生で一度くらい、思わず出会う人みんなに話したくなる壮大なドラマの舞台に上がってみても良いじゃないか。自分の人生や価値観が変わったとは思わないし言うつもりもないが、楽しかったと断言できる。これは間違いなく自分にとって大切な、かけがえのないものである。
最後に自転車を通じて出会った友人達、参加にあたり支援してくださった方々、国内の主催団体スタッフのみなさん、現地のスタッフならびにボランティアのみなさん、その全てに感謝を。
本当にありがとうございました。
PBP2023レポート⑧ : 凡脚週末ローディの戯言 (livedoor.blog)
【ゴール後】
ゴールゲートを潜り感傷に浸…っている間もなく、即座に完走者用の駐輪場に追いやられる。…まぁ、いつまでもボーっとされてても邪魔だし危ないだろうし仕方ないね。ということで自転車を停め最後の押印の儀式を執り行う。場所は物販コーナーのテントの中である。スタンプを押してもらい完走メダルとミールチケットと共に、その場でブルベカードも返却される。…え?良いの?これオペレーションミスってない?と心配になるも、周りの人たちもやはりその場でブルベカードが返却されていたので、そういう運用らしいと納得する。ICタグで管理されているから、それで良いということなのだろう。
とりあえずテントから出て知り合いがいないかと思いボーっとしていたが、さすがコミュ障ぼっち系サイクリストのワイ、そんな都合よく顔見知りなんて現れないぜ!勿論ジャージ交換なんて求められることもないぜ!…ということで近くにいた優しそうなお姉さんに普段はやらないゴール完走報告用の自撮り写真の撮影をお願いし、昼食を食べるために行列に並ぶ。うーん、長い。空模様を見るとだいぶどんよりしており、いつ一雨きてもおかしくなさそうである。そうしていると同じくゴールしていた15さんとはまいぬさんがやってきてしばし談笑しつつ、ドロップバッグ回収ならびに洗濯峠についてのスケジュールを打合せする(ゲンナリ)。いったん彼らとはここで別れ、しばし待っているうちにテントの中に入れたので昼食と相成った。最後に食べたPC飯もそうだったがやはり美味しくいただくことができた。五臓六腑に染みるぜ…。おまけにデザートがパリブレストという粋な計らいもあり、『フランスでパリブレストを食べる』という実績を最後の最後に解除できたのは素直に嬉しいところである。
満腹になったところで一息ついていると、いつの間にか激しい雨音が。うーん、これは流石にお外には出れませんね…。というか、あと数時間ゴールが遅れていたらこの雨の中走る羽目になっていたのか。幸い、テントの中は特に混んでいるというわけではなく、雨雲レーダーを確認してもすぐに止みそうな予報であったため雨宿りがてらTwitterを巡回する。DNF・完走報告が入り乱れる悲喜こもごもなTLを眺めているうちに雨も止んだため、トイレだけ済ませてホテルに戻る。駐輪場から自転車を出す時は盗難対策なのであろうか、リストバンドをしっかりチェックされるという中々のセキュリティの高さであった。
ランブイエ駅まで戻るとPBP参加者達でごった返しており、切符を買うのにも一苦労しそうな様相である。ここでもまたばるさんとさめはるさん夫婦に出会ったので話を聞くとマジでよく会うな()、どうやらまたホワイトハウスでハンバーガーを食べていたらしいwまぁ、でもあそこ美味しいからね、仕方ないね。思えば、自分がしっかり完走できたのは彼の情報や助言によるところが非常に大きい。本当にお世話になりっぱなしで頭が上がらないものである。
とりあえず切符販売機まで来たので買おうとしたが、極限まで低下したIQも相まって買い方がよくわからない…。あーでもないこーでもないとまごついていると、日本からの参加者でこれまた同じくラレー乗りの方に助けていただけた。感謝を述べつつ何でもこれまた同じく下車駅もヴェリエールということで、雑談しながら一緒に電車に乗って帰ることに。…車内で爆睡してしまい、この方がいなかったら確実にモンパルナスまで乗り過ごす羽目になっていたことを、ここで懺悔いたします。
ヴェリエールに到着したので先ほどの方とはここで別れ、スーパーで買い物を済ませて宿に戻る。オーナーに「レースお疲れ!何着だったの?」と聞かれたので「レースじゃないけど、何とか時間内にゴールできたよ」とゴミみたいな英語力で答えておく。Tessyさん含め、まだ誰も戻ってきていないようだが、状況を聞くと「時間ギリギリでゴールしたので、宿には戻らずそのままドロップバッグの回収に向かう」とのこと。無事に認定完走できていたようで本当に良かった。
さて、ドロップバッグの回収時間は17:00~18:00のわずか一時間。とりあえずシャワーを浴び
洗濯も終わったのでまた例のインド屋に向かうと、先客にクロさんが。折角なのでご一緒にチーズナンセットとビリヤニをキメ会いたかったよチーズナン、フランスでの最後の晩餐と洒落込む。一通り食べ終わり名残惜しいが宿に戻る事とする。そう、今日のタスクはまだまだ残っているのだ…。
クロさん・15さん・はまいぬさんと別れを告げ宿に戻る。あれ?もう結構良い時間なのに私以外まだ誰も帰ってきてないな?と思いきや他の方々もそれぞれの友人たちと祝勝会をしているとのこと。私と同室の方からは「今日はもう戻らないのでお部屋は占有して好きに使っちゃってくださいw」と連絡が。折角なのでお言葉に甘えて遠慮なく広々と使わせてもらおう…。さて、1200km以上も走ってきた上に連日寝不足である。時刻は20:00。いい加減オフトゥンにダイブしたいがそうは問屋が卸さない。そう、私の帰国のフライトは明日8/25のPM12:00発の便である。CDGまでAM9:30までには到着していたい…ということでタクシー(Uber)の予約時間はAM8:00。これが何を意味するかと言うと今すぐ自転車も含めて帰宅の準備を完了させなければならないということである。つらい。非常につらいが仕方がない。過去の自分を呪いつつアマプラで出国前にDLしてきた映画を流しつつ作業を進めることにする。1時間くらいかけて何とか日没までにパッキングを完了させ(陽が落ちるのが遅くて助かった)、ようやく寝ることができる…。余裕があるなら帰国は最低でも翌日の夕方以降の便を抑えることを強く推奨しておく。
【帰国】
AM6:20…祭りも終わり、今日はいよいよ帰国である。シャワーを浴びて朝ごはんにアルファ米のわかめご飯を食べ(せっかくだから昨日寄ったスーパーで総菜パン買えばよかった…)、出立の準備を済ませる。さて、往路と同様にCDG→SIN→KIXの長丁場のフライトとなる。忘れ物が無い事も確認し、ちょうど予約していたUberがくる時刻となったため、宿を後にする。…長い間!!!くそお世話になりました!!!
こない。
おいおい一体どうなってんだ道でも混んでるのかアッハッハ!んもぅフランス人ったら時間にルーズなんだから…とりあえずドライバーは今どこにいるのかな?と思いUberアプリを開いて確認したところ、「この予約はキャンセルされました」との文言が。これは一体どういうことだと思い調べてみると、どうやら行きの配車で支払いに使おうとしたクレジットカード(私が滞在中に使用していたものとはまた別のカード)が不正利用を疑われてロックされてしまっていたことでその分の支払いができていない状態であった。じゃあ私が持ってきていたカードを使って再度配車しなおすべ…と処理を進めても、Uber側からも悪質なアカウントだと判定されてしまっており、予約を受け付けない状態であった。
マズいな…今から鉄道使って移動しても間に合うか?…いや、調べたところ厳しいな。これはいよいよ万事休すか?と途方に暮れていたところ、同じ宿に泊まっていたTessyさんのご友人がたまたま通りがかり、事情を説明すると「じゃあ私が配車しますよ。お金はまた後で銀行口座に振り込んでおいてください」とありがたいお申し出が。時刻はAM9:00でさすがにもう余裕が無いためお言葉に甘え呼んでいただくことに。幸いすぐにドライバーとのマッチングに成功し、すぐに来るということで慌てて乗車した。この騒動で起こしてしまったTessyさんにも最後の挨拶とお見送りをしていただき、慌ただしくCDGに向かった。その節は本当にありがとうございました。
CDGにAM10:00到着。道も混んでおらず1時間で済んだのは本当に助かった。ここまで運んでくれたドライバーにお礼を言いつつ(これがフランス滞在中最後のメルシーだ)、道中の車内でオンラインチェックインを済ませていたためそのままシンガポール航空の受付へ行き自転車を預ける。そのまま慌ただしく手荷物検査や出国審査を終え(KIXより遥かに厳格だった。SPDシューズのクリートもバッチリ金属探知に引っ掛かってしまったし、手荷物の中身もチェックされた。ライトやモバブ類の容量確認やオイルのSDSは相変わらず求められなかったが…)、お土産も購入し綺麗に€も使い切り、本当のギリギリになんとか飛行機に乗り込むことができた。ありがとうなフランス。楽しかったよ。次来るときはゆっくり落ち着いてパリやモンサンミッシェルでも観光するよ。PBPの私設エイドなんかも楽しそうではある。
ラッキーなことに、CDG→SINの13時間のフライトでは隣りが空席の通路側を確保することができた。やはりエコノミークラスと言えども、もうこれだけで快適度は雲泥の差。気温は何故か終始寒かったが、個人的には耐えられないというほどではない。むしろ肌寒いくらいの方が汗もかかずに快適なまである。PBP出走直後ということでお尻へのダメージも心配だったが、むしろ逆に幸せの閾値が極限まで低下している状態のため往路と違い「わぁ、ただ座ってるだけで目的地に着くなんて、なんて素晴らしい文明の利器なんだ!」と一切のストレスを感じなかったこと
そうしていつの間にかチャンギ空港に到着。まだまだ日本までは耐機時間の7時間も含めてまだ遠いが、アジアということでもう気持ちとしてはだいぶ帰ってきてしまった感が強い。ひとまず朝食として2000円以上する一風堂のラーメンを食べ(マジで高いなと思ったが、それ以上にこの時の私は「ジャパニーズヌードルのためなら殺人すら厭わない」という心境であった)、あいにく外はこれまた雨であったため、空港の中を観光して時間を潰すことにした。さすがアジア最大のハブ空港、ただ見て回るだけで余裕で時間が潰せるぜ。しかし、知ってはいたが物価の高さ半端無いな。セブンイレブンでペットボトルのコーヒーが300円くらいするんですけど…。
さて、見るものも無くなり他の人のPBP珍道中を拝見していたら、いよいよKIXまでの便の搭乗手続きが開始となる。チャンギ空港の場合、各ゲート毎に手荷物検査+出国審査があるので少し面倒である。どうでも良いが、出国審査の際にパスポート写真と私の顔写真を照会するゲートがあるのだが、精度が低いのか私含めてそこで3~4回やり直す羽目になった人が何人もいた。国際線に乗る時はやはり時間に余裕を持って行動した方が良さそうだ。
ゲート先でトイレも済ませ(まさかのウォッシュレット完備であった)、今回の旅の最後のフライトとなる。機内は寒すぎず暑すぎずな環境で特筆することもなく6時間後に関西空港へ到着。ロストバゲージも無く何とか無事に旅を終えることができた。
【その後】
体調の方はというと、実は左手の指先の痺れがかなり強く残っており、この記事を執筆している1ヶ月以上経過した今でも容態としては改善されておらず、自転車にも全く乗れていない日々が続いている。整形外科に通院し投薬治療中ではあるが、このまま一向に改善されない状態が続くと手術の可能性を示唆されている。利き手ではないため幸いにもギリギリ日常生活に支障はきたしていないが…何か対策はあるのだろうか?痺れが出ている箇所から判断するに、掌の尺骨神経ではなく首筋に通っている神経への圧迫の可能性が高いとのことなのだが…。これもうリカンベントデビューしか無くない?
それも踏まえた上での総論としては、本当に参加して良かった。この一言に尽きる。金銭面でもスケジュール面でも参加するハードルは非常に高いが、それでもなお全てのサイクリストに是非とも参加してもらいたい。心の底からそう思えるイベントであった。
同じ最高峰でもツール・ドフランスに参加できるのはごく一握りの選ばれた人間だけだが、パリ・ブレスト・パリであればほぼ全てのサイクリストに門戸が開かれている。そこにいる人間全てが主人公。人生で一度くらい、思わず出会う人みんなに話したくなる壮大なドラマの舞台に上がってみても良いじゃないか。自分の人生や価値観が変わったとは思わないし言うつもりもないが、楽しかったと断言できる。これは間違いなく自分にとって大切な、かけがえのないものである。
最後に自転車を通じて出会った友人達、参加にあたり支援してくださった方々、国内の主催団体スタッフのみなさん、現地のスタッフならびにボランティアのみなさん、その全てに感謝を。
本当にありがとうございました。